シミュレーションを活用:HT邸ガラス改修計画

築34年の土壁の木造住宅。

断熱材が施工されていない昔ながらの日本家屋的な木造住宅において、主として使用する居室の窓ガラスを断熱化することによる効果をシミュレーションしたもの。

窓のガラスを単板から複層に交換するが、断熱材の施工されていない床・壁・天井部分はそのままとした場合、ガラス交換による効果により居室の温熱環境が改善するか検証している。

ガラス交換によって建物として断熱性能が上がることは間違いないが、床・壁・天井をそのままであるがゆえに、良好な温熱環境となるか否かの判断が難しいところであり、リフォーム会社ではその効果を検証することは不可能であった。また、床について15mmの段差が発生するが、簡易に施工できる床改修による効果が発揮されるのかについても併せて検証を行った。

シミュレーションの結果、ガラス交換によって居室内の温熱環境がかなり改善することが確かめられた。一方、室内で高さ方向に温度差がある状態であり、建物全体が適切に断熱化された場合のように室全体として温度差が小さい状態にはなっていない。これは簡易な床の断熱化改修を行った場合でもほとんど効果がなく、段差を発生させてまで実施する必要はないという結論に至った。

↑床・壁・天井・窓を全て適切に断熱改修した場合の室内の温熱環境の変化の例。改修後(after)では室内が一様な温度環境となっている。

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